Stratford-upon-Avon、言わずと知れたシェイクスピアの故郷です。エイヴォン川に面したストラトフォードなのでしょうが、学生の時からなんでこんな変な名前なんだろうと、今でも思ってしまうほどですが、しかしながら異国情緒を醸し出す、英語の学び手であれば誰もが不思議と憧れる、英語らしい地名であったりもします。単なる私だけの感想ですが。
で、本日はそのStratford-upon-Avonから来たまさに英国紳士淑女といった夫婦との出会いのお話です。(ちなみに語源辞典にStratford-upon-Avonの項がありました。やっぱり誰でもなんでこんなに変な地名なのかと思っちゃうのですかね。Stratはstreet、fordは「(川・湖水などの歩いて渡れる)浅瀬」、ローマ時代の道に沿った浅瀬という意味です。Avonは水とか川とかいう古語から来ているようで、よくあるライン川みたいな感じですかね。
イングランドの真ん中から北の方のアクセントを最も苦にする私なのですが、彼らは元々ロンドンなど他の地域に住んでいたようで、そのイギリス英語はまさにauthentic、本物のそれでした。何十年も英語の勉強に苦しんだ後にしか分からない、このイギリス英語の聞き心地たるや。いろいろな地域の英語が分からないのは学び手が悪いのではなく、やはり話し手が悪いのであるとここに断言するほど、一字一句聞き逃すことはありませんでした。
本当はイギリス文化の故郷、彼らの住んでいる町の話をたっぷり聞きたいほどでしたが、それでは彼らのせっかくの姫路訪問を損ねてしまうのでしぶしぶ姫路城の話をしました。それでもこれまた有名なノルマンコンクェスト、ウィリアムズ征服王の話などお城関連で少しはその雰囲気を嗅ぎ取ることができました。
お城に感動したときに外国人が発する形容詞がさまざまで面白いわけですが、今回は木造建築の構造を少し話したときに「engineering!」と出たのを聞き覚えました。そこでengineerを語源辞典で引くとこれまた面白い。
en-は接頭辞のin-、これもいろいろ用法があるようですが、今回は「運動の意を含む動詞の前で、into,against,towardの意」「動詞構成要素として他動詞的、また時には強意的に用いる」のどっちかでしょう。ginは「発明の才、機械」などとありますが、生み出すを意味するgen(generate, gene, geniousなど)がその由来でしょう。最後の-erは「~する人、するもの」ですが、ingenerと綴っていたこともあるようです。
カタチとしてかなり似ているingenious「高い知的能力を有する、発明の才のある」はさらにカタチの似ているingenuous「率直な、心の高潔な」(この辺りは英検1級とかで苦労しそうな単語ですねー)とネイティブでさえ混同していまい、副詞のingeniouslyには「率直に」という意味があるようです。もう何を言ってるのかわけが分かりませんね。
またgin「発明の才、仕掛け、わな」という英単語もあるようで、お酒のginとは関係なし。さらにbeginのginもまた別の語源として存在するようです。
お別れの際、「好古園(お城の隣の日本庭園)にも一緒に行ってもらえる?」と聞かれましたが、急いでいるので行けない、実は私は塾の講師である(無論こっちが本当の姿)と断りました。本当にいい人たちに出会ったら一緒に行くこともありますが、この人たちとはもっと長く話していたかったとちょっと後悔しました。しかしながら午前中の英語訓練、そして休息をはさんで万全の状態で塾の授業に臨むことこそが私の勤めなので、これでいいのであります。
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