亜米利加人が来た04

姫路城ガイド

新年あけましておめでとうございます。本年こそブログの更新頑張ってまいります。

今朝もちょっと普通ではなかなか会うことのできない人との会話を楽しんできました。サンフランシスコからの30代男性一人旅ですが、半分仕事、半分観光の一か月半の日本滞在。ただならぬ余裕を背景に漂わせるこの細身のインド系アメリカ人は私のお城の説明も食いつく箇所が普通とは違い、石垣の積み方についてや、床板の材質などについて気になるようで、ひとたび考えるモードに入ると私の話は聞いていないようで、納得いくまで自分で考えるタイプの人でした。

私の話、に関して。丸い石でできた石段の説明で「to make the enemy ’slip’(敵をすべらすため)」というフレーズを言うのですが、「sleep?」と聞き返されました。つまり、やはり私の英語の発音は所詮その程度で、ガイド当初からがっかりの烙印を押されたのかとも思います、少々悲観的かもしれませんが。そしてこの日はなかなかの極寒で、だいぶ良質そうなジャケットを着ていたにも関わらず寒そうにしていたことから、あまり文化財をじっくり見る状況ではなかったのかもしれません。

それを察知して、お城の話はそこそこに、ひたすら滞在中の話をうかがうモードに切り替えました。すると数日前大阪で食べた寿司の話など、たくさん話始めてくれました。市場で朝の5時半から出される五貫で5,000円とかいう観光客相手のもの、あれを四皿食べた(20,000円、絶句)とか。また大阪でのお気に入りのカレー屋さんを紹介してもらいましたが、その流れでインドのカレーについて、話が盛り上がりました。そういやヒンズー教徒であれば肉はダメなんでしょ?と聞くと、「うん、インドの親戚の家では食べないよ、親戚の家以外ではなんでも食べるけど」と。

さらにさらに話はインド国内での言語について、「日本ではせいぜい二つか三つの方言があって、(みんながコミュニケーションできるように)よく組織されているけど、インドは言語や方言が無数にあってカオスだよ」この時の言い回しが「Japan has a well organized language system, India has well organized chaos」で、organized chaosという表現はwell organizedされてるね、とギリギリのお返しで切り抜けてみせたりしました。

organizedに見られる「organ」、こんなのを語源辞典で調べてみようなどとはこのブログでもやってない限りなかったので、一見必要のないこともやってみるにしかずです。しかし、やはり引いてみても他に派生する言葉はなく、organはorganのみでした。ただし多義語であるこの単語の変遷を少したどると、元々は「楽器、オルガン」からスタート(1338年)。すぐ後に動植物の器官、臓器(1392年)、道具・機関(1425年)、発声器官(1601年)、機関紙・マスメディア(1788年)となっており、楽器から始まったことに少し驚きました。原義に「work」のニュアンスが含まれているみたいなことが書かれています。何でしょうか、パイプオルガンの中身が振動で震えているのが、人体に例えられるうちに意味が派生していったように考えられます。

さて、彼に職業を尋ねるとキーボードをたたくジェスチャーを。深めると、現在ビジネスパートナーが大阪のUSJでビールを売る仕事(たぶんレストランかなんかを立ち上げるのか)をしてて、それに奔走させられているとのこと。世にいうenterpreneur。サンフランシスコでビジネス立ち上げてて、日本で湯水のようにお金を使う、今の時代の象徴みたいな生き方をしている若者でした。そんな彼から少し時代の雰囲気をおすそ分けしてもらったような二時間のガイドでした。

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