里都亜尼亜人が来た01

姫路城ガイド

久しぶりの日記です。最近は気候も良くて午前中は塾長自らの勉強のためにも英語ガイドをしにお城へ行きます。開門と同時に入ってきた最初の西洋人を捕まえてこの日はガイドを行いました。最初に自己紹介をして、相手がどの国から来たかを問うのですが、ここでごくたまに耳慣れない音が聞こえます。今回はLithuania。バルト三国の一番南側にある国です。数百回ガイドをしてきましたが、バルト三国の国の人と出会うのは初めてです。テンションも上がります。(後日談、二日後にまたリトアニア人と出会いました)

母と娘とその彼氏(あるいは旦那)、あるいは母とその息子と娘、あるいはあるいは三兄弟か、ちょっと私の感覚では異国過ぎて判断が付きかねない容貌の三名でした。あとでどういう関係性か聞いてやろうと思っていましたが、そんな野暮な話をする間もないほど、話題には事欠かず、あっという間の2時間が過ぎていったのでした。

姫路城内には建築時から備え付けられているトイレ(厠と言った方がいいか)が数か所ありますが、これを外国人が使おうとしたという本当かどうか分からない話があり、私はこれをネタにどこの国の人がやったと思うか?という性の悪い質問をよくします。どこの国の人も隣の国が嫌いなようで、ポルトガル人が「スペイン人がやった」とか、カナダ人が「アメリカ人がやった」とかいうのは簡単にその気持ちが理解できます。これがリトアニア人だとどうなるか、私は「ロシア人ですか?」と先制すると、三人が三人とも違う国を挙げました。「ロシア」「ドイツ」「ラトビア」。ロシアに関しては言うまでもありませんが、第二次世界大戦でドイツに攻め込まれたリトアニアは、先に占領されたラトビアからドイツ軍の攻撃を受けたからというのがその理由のようです(もはやトイレを使った理由ではなくなっていますが)。でもリトアニアとラトビアは兄弟国であると他のリトアニア人は言っていましたし、リトアニア語に似ている言葉は世界でラトビア語のみのようです。この話題は国際情勢を垣間見るのに非常に面白いので今後も性悪くやっていこうと思います。ちなみに「そんな質の悪い話題はキライよ」と言われることもしばしば。

姫路城を代表する家紋は池田家の揚羽蝶ですが、英語ではbutterfly。リトアニア語ではdrugelis。今回の人たちに習って、二日後に使ってやりましたがあまり反応はよろしくなかったです。

今回の語源はbutterfly。なぜちょうちょがバタフライなのか考えたこともなかったのですが、語源辞典ではbutterはあの乳製品のバターで、魔女が蝶の姿をしてバターやミルクを盗むという迷信からか、または排泄物の色の類似からか、と説明しています。

butterの方については、beefなんかの語源で牛を指すものと、チーズを表す接頭辞tyro(これに関しては代表的な英単語が出てきませんでしたが、スペインのチュロスなんかが関係あると考えられました)がくっついたもののようで、特にそれ以上面白い話は出てきませんでした。

flyはとても英語の大和言葉っぽいですが(←そのまま考えると意味不明ですが分かってください)もちろん「飛ぶ」という意味の最もベーシックな言葉で、flow「流れる」、flee「逃げる」などが挙げられていますが、「fl~」で始まる多くの単語がflyと同じ感覚でできているのは想像に難くないですね。擬態語みたいなものでしょう。またもちろん「飛ぶ昆虫」の意味もありますが、今では複合語(butterfly, dragonflyなど)でしか使われず、flyと言ったらハエです。

私は所属しているガイドのグループの中では新米の方ですが、初めて出会うリトアニア人には何を質問していいか分からず頭を悩ませるばかり。しかし二回目のリトアニア人を天守閣の最上階に連れて行ったときに我がグループの会長と出会って、ちょっと紹介すると「あ、リトアニアね、飛行機で何時間くらいかかった?あ、ヘルシンキで乗り換えするのねー」と話がスムーズで、やはり経験値の差を感じたものでした。首都がビリニュスであることは何回も使ったので記憶できましたが今はその程度です。

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