科学者が来た

ホームページを新しくしてからというもの、一向にブログの更新がされていない状態なのですが、更新しようという気概だけは今でも持っています。言い訳がましいですが、コロナのこともあり、このブログのメインの内容であった姫路城のガイドでの様子が書けなかったことも大きな要因でした。

さて、その姫路城も今では連日外国人観光客で大賑わいです。さらには学習塾という業種特有の3月までのあわただしさも一件落着して、さて文章でも書こうかなという気になってきました。とりあえず学生たちには自習をさせながら、先日あった姫路城でのイベントについて筆を執ってみます。

ICMF2023という科学者の国際会議が今年は神戸であり、参加者の遠足として200名近くがバスで姫路城と好古園に大挙来襲するというイベントが先日ありました。私が所属している姫路城外国語ガイド協会(VEGA)がこの大人数を引き受け、14名の会員が対応しました。

好古園の案内の経験がないこと、10名以上を一度にガイドすること、当日雨予報、相手が全員インテリ等々、緊張することばかりでしたが、当日までに日本庭園に関わることなどを英語でどういうか確認して、久しぶりにテスト勉強のようなことをする機会となりました。

当日、私が受け持ったグループは好古園~姫路城という順番で、2時間半で二つを周ってくるものでした。南アジア系の美人女性、NY出身の何不自由ないようなイケメン、すぐ後ろでフランス語で会話している男性二人、ガイドがつまんなかったら単独で回ろうという意思が読み取れる中年男性複数名で構成されたわがグループ。こんなものは出だしが肝心と、雨が降りしきる歩道で「Let me introduce myself a little!」と大きな声でかましてやりました。

「私の名前は翻訳するとdragonなのでドラゴンと呼んでくれてもいいよ」というのはいつもの挨拶なのですが、いつものようにややうけ。そしてこの度考えたとっておきのネタですが、混相流という、液体や気体にほかの物質が混ざったらどういう動きになるのかを研究する人たちだったので、彼らにたいして、「日本庭園には必ずと言ってよいほど鯉が飼われているが、これは日本人が古くから流体にほかの物質が混ざった時にどういう流れになるのかを理解しようとしていたからです(Japanese people tried to understand how the waterflow changes when it is mixed with other substancesみたいな)」というと、これもややうけ(もちろんきちんとした説明もしました。古代中国では鯉が滝を上って竜になると信じられて、登竜門とか鯉のぼりの話につなげるという英語ガイドのお手本のような話をしました、ですが…)。慣れない好古園のガイドで皆様は私の底をあっさりと見抜いたようでした。

しかしながら、姫路城にまで来るとまさに水を得た魚が竜になったようで、いつもの通りの説明でがっちりハートをつかむことができました。皆さん誰一人欠けることなく、質問も一人一個以上してくれました。難しかったのは天守最上階にある長壁(おさかべ)神社の起源を聞かれて、いや、これはローカルの神社だと答えると、(稲荷神社や天満宮のような)本社はどこかと。

彼らの知りたかったのは神社がどういう風に派生していくのかということだったようで、書写山にある愛宕社の説明かなんかで読んだ、「地元の人が本社に行ったときに、まつわる何かを持ち帰って、地元のパワースポット的なところに祀ったりしたらそれは神社になる」とか答えたら、納得してくれたようでした。この時の私が言った英語はもう記憶していませんが。

そのほかにも漆喰の原料をやたら聞いてきたのは、複数の原料を混ぜる研究をしている人たちならではなのかと勝手に推測したり。ちなみにみなさんの研究はどういうところで応用されるのかと聞くと、シャンプーとかジェット機とかいろいろでした。それ以上聞くともう、何を言っているのかさっぱり分からず、「I don’t understand it to the extent no question comes up.」とお手上げでした。

やり終えて、ほかのメンバーたちも達成感に満ちている様子でした。途中から雨も上がり、遠足に花を添えられたと思います。そしてその足で塾に戻り授業をするタフな一日を過ごしました。

で、このブログは姫路城の案内から出てきた英語について深堀するような内容でしたが、それとともに私の最近の関心ごとなどを不定期に更新する、塾とはあまり関係のない、さりとて塾長の人となりが垣間見れるようなものです。この更新をきっかけに更新が継続することを我が事ながら期待しています。

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