書評07「世界を動かした塩の物語」

BL出版「世界を動かした塩の物語」を読みました。絵本ですが文量多く、世界史と科学が混じった読みごたえのある本です。小学生の教材にどうかと思っていましたが、中学生でも十分勉強になる内容です。
専門外ですが、小学生が尊敬の念を込めて褒める絵の感じが分かるようになってきており、まずこの本は彼らのリスペクトを勝ち取るでしょう。いわゆるこどもこどもした絵(全然いわゆれてませんが)は彼らの肥えた目には反感を買います。
科学の本はうんちくを仕入れるようなものになりますが、ぱぱっと明日友達に言うには良く読み込んで咀嚼せねばならないので、要約してはじめて明日使えそうです。例えば、
「紀元前250年頃の中国で、地下の塩水を組み上げて塩を作る技術があったのですが、作業中に爆発事故が何度もあり、人々は塩を守る龍が地下にいると信じた。西暦100年頃にはこの爆発を起こす気体に火を付けて塩水を煮沸して塩を作った。これが世界初の天然ガスの利用だ」
とありますが、なかなか人に伝えるには難しい内容と思います。
英語専門の私にはsaltがsalary、soldier、saladの語源であるというのも収穫。ローマ人は緑の野菜に海水で作ったドレッシングをかけたとのことです。面白い。
このように小話を交えながら、人間と塩の関係を時系列で説明していくストーリーで、古代ローマ、大航海時代、アメリカの近代化、ガンジーの塩の行進、石油との関係、と進んでいきます。大人であればじっくり20分くらいで読めます。ですが、私は切り刻んで授業で使うことにします。