内田樹「先生はえらい」ちくまプリマー新書

どこかで中高生に推薦されているもそれは失念、されども学生のみならず青年中年にも「いいね」を押したくなる教えが満載の一冊。「教え」とか「学び」とか「コミュニケーション」とか「恋愛」なんかも、実のところは我々が常識としているところの逆で成立しているんだよ。謎が深いほど分かりたいスイッチが入ってそれら行為がスタートするんだよ、と難解な哲学めいたお題を最も簡単に表現してくれている。

「自動車教習所とF1ドライバーに同じ技術を教わったとして、その後の習い手の感情」

教習所は皆と同じ免許証までの技術を教え、F1ドライバーは技術が無限であること、ゆえに簡単な技術も理解不明な言葉で教える。それで習い手は運転の奥深さを知り始め、師として仰ぐ(知名度で尊敬するわけでない)。

「知らない部族間の交易とコミュニケーション」

相手が分からないモノを出し物とし、相手側の謎のアイテムについてその価値に悩む。モノそのものより交換のドキドキのために交易をする。コミュニケーションも同じで、相手の言うことが分かったらそれ以上話はしない。「はい、もう分かった」状態。相手の言うことが分からず、誤解の可能性を含むからこそ人は人と話をする。

私読後直後。すでに「著者はえらい」状態に陥っており、また自分をそこに置くのがこの本の言う学びの状態だから、自然に、あるいはちょっと積極的にこの状態に身を置いてみる。先生は訳が分からなくてよいのだが、この本が実に分かりやすいのがまた逆説的で、結局分かりにくいのである。

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