森絵都「カラフル」(文春文庫)

 

「この地上ではだれもがだれかをちょっとずつ誤解したり、されたりしながら生きているのかもしれない。それは気が遠くなるほどさびしいことだけど、だからこそうまくいく場合もある」

死んだばかりの魂が、人生の再挑戦資格に当選したと告げられるシーンで始まるすべりだしのいいお話。映画化、アニメ化された直木賞作家・森絵都(もりえと)氏の代表作のひとつ。中1国語の読書案内で発見。テーマは思春期の悩みと関連する自殺願望。著者は小説ならではの設定で、10代の悩みの原因や仕組み、解き放たれ方のヒントを暗示していく。

主人公は死んで間もない魂で、それは前世で大きな過ちを犯していた。神の抽選で再挑戦の資格が当たるが、そのミッションは自殺した少年、小林真(14歳)の体にホームステイし、その間に魂自らの過ちを思い出すことである。(設定では完全に忘れてしまっている)

真の自殺の原因は家庭や学校の環境。母親の浮気や兄からの軽蔑、片想いの女子が援助交際をしているのを目の当たりにして、救いようのない現世に終止符を打った。入れ替わるように始まった再挑戦で、魂は真の重苦しい境遇を客観的に生きながら、彼が犯していた誤解をひも解いていく。自殺は必要なかったのではないか!?

チャラいガイド役の天使「プラプラ」と主人公の、コミカルで軽快だけども心通うやりとりがページをさくさくめくらせてくれる。中盤に至っては、読者は必ずや魂と同じ真剣さで少年の過ちを推理していくことになろう。主人公は「たった一色だったと思っていたものがじつにいろんな色を秘めていた」ことに気付く。この一行が気になれば、はい、アナタはこの本を手に取るべきである。

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